※2023.06.08
ノミ・ダニ予防薬の使用について、文章を補足しました。
4~10月はマダニに注意!
寒さが苦手なミーアキャットと暮らす私たちミーア飼いにとって、春から秋にかけてのシーズンは、お出かけするチャンスが増える楽しみな時期です。
しかし、お散歩シーズンにあわせて活発化する危険な存在がいます。
それは、マダニです、、
マダニは、飼い主やミーアキャットの健康を脅かし、時には飼い主やミーアキャットの命に関わる可能性もある、とても危険な存在です。
お散歩しないほうがいい?
ご安心ください。
飼い主さんがマダニについてしっかり知識を持っておけば、きっと対処できます。
本記事では、
・どう行動すれば安全なの?
これらの疑問から、マダニの基礎知識とミーアキャットの安全を守るためのベストな対策について、詳しく解説しています。
かわいいミーアキャットとの時間を安心して楽しむために、一緒に学んでいきましょう!
監修協力:
この記事は、AniCure動物病院 大崎 浦和勇人院長に監修していただきました。
いつも吾作・尚弥・なごみがお世話になっております🙇♂
ありがとうございました!
マダニ、何が怖い?
人間とミーアキャットに深刻な感染症を引き起こす恐れがある
マダニに咬まれると、さまざまな体の不調が出る恐れがあります。
ですが、マダニが本当に恐ろしいのは、マダニが様々な病原体を運んで、飼い主やミーアキャットに深刻な感染症を引き起こすことがあるからです。
マダニが運ぶ病原体の中には、私たち人間にも感染して、非常に高い致死率を持つものも含まれます。
さらに、ミーアキャットから飼い主へと感染するおそれもあります(人獣共通感染症)。
マダニによる感染症の例
マダニが原因となる主な感染症をリストアップしてみました。
現在、もっとも恐れられている一番イヤな感染症は、重症熱性血小板減少症候群ウイルス (SFTS)でしょう。
SFTSは、治療を受けないと致死率が6~30%という高さに達する恐ろしい感染症です。
SFTSこわい
マダニによる主な感染症
- 日本紅斑熱(にほんこうはんねつ) ・病原体(リケッチア)を持つダニに咬まれて感染する
- ライム病 ・病原体(ボレリア・ブルガドルフェリ)を持つダニに咬まれて感染する
・潜伏期は2~8日
・頭痛、発熱、倦怠感、死亡例あり
・全身にかゆみや痛みを伴わない斑点が出る
・ワクチンは無い
・潜伏期は3~30日、平均的には7~10日
・頭痛、発熱、関節痛、倦怠感などが主な症状
・初期段階では赤く広がる皮疹
・未治療の場合、神経症状、関節炎、心臓への影響など、重篤な症状が発生する可能性あり
・皮膚症状や関節炎、脊髄脳炎などが重症化し、死亡することもある
・抗菌剤で治療するため、早期発見・早期治療が重要
・ワクチンは無い
参考:岐阜大学 遊走性紅斑
- ダニ媒介性脳炎 ・フラビウイルス科のダニ媒介脳炎ウイルスを持つダニに刺されることで感染する
・ヒトへの感染はマダニ以外に、ヤギの生乳の飲用もある
・潜伏期は2~28日、一般的には7~14日
・初期症状は発熱、頭痛、眼窩痛、関節痛や筋肉痛など
・痙攣、眩暈、知覚異常などの中枢神経系症状が出現する可能性がある
・未治療の場合、致死率は1~2%であり、回復しても神経学的後遺症が10~20%に見られる
(種類により異なる)
・ワクチンあり
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ・ブニヤウイルス科フレボウイルス属のRNAウイルスにより感染する
・感染経路はマダニ以外に、人から人への感染も可能
・潜伏期は6日~2週間程度
・症状として発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)、頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などが出現
・未治療の場合、致死率は6.3〜30%と高い
・特別な治療法はなく、対症療法が中心
・ワクチンは無い(ダニ媒介性脳炎のワクチンはSFTSに対して効果がない)
参考:SFTSとダニ媒介ウイルス 前田 健 (国立感染症研究所獣医科学部):
マダニによって伝播される主な感染症を挙げてみました。
これらの感染症は、全て非常に深刻な健康リスクをもたらす可能性があります。
なかでも、SFTSウイルスに感染し、症状が出て未治療だった場合の致死率30%(国立感染症研究所)というのは驚異的です。
参考:厚生労働省 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A
さらに困ったことに、SFTSウイルスに対するワクチンや治療薬はまだ存在しないため、現状では対症療法しかありません。
こわい
たしかに怖いですね…
でも、これまでに日本国内でマダニ由来の感染症にかかった人の総数は、まだそこまで多くはありません。
また、世の中のすべてのマダニが病原体を持っているわけではありません。
・どうやって対処すべきか
理解していれば、マダニによる感染症のリスクを大幅に減らすことが可能です。
ここからは、現状を正しく把握して準備や対処をするために
・マダニの対処方法
について考えていきます。
必要なことだけを先にお伝えすると、
マダニからの感染を防ぐためには、とにかくマダニに咬まれないことが第一です。
適切な防虫対策を行い、自然環境での活動時には肌の露出を最小限にすることが重要です。
また、マダニに咬まれたと思われる場合や、これらの感染症の症状が現れた場合には、すぐに医療機関に相談することが推奨されます。
感染者は、まだ少ない
特に深刻な健康リスクがあるSFTS感染者数は、2019年以降ほぼ毎年100人を超えていますが、まだそこまで多くはないとも言えます。
また、マダニがみんな必ず病原体を持っているかというと、そうではありません。
全マダニの中で、どれだけのマダニが病原体を持っているか、その確率は予測不可能で、まさに「神のみぞ知る」といったところなのですが、
調査によると、致死率が非常に高いSFTSウイルスを持っているマダニに咬まれ、それが発症する確率は、わずか0.3%程度だとされています。
もちろん怖いことに変わりはないのですが、確率だけで比較すると、一年間で交通事故に遭遇する確率(2020年の統計で0.2%)くらいだと言えるかもしれません。
参考:愛媛県 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況
また、人間の免疫状態は個々で異なるため、中にはこのウイルスに感染しても無症状のままでいられる人もいます。
ただし、年齢が上がるほど重症化しやすい傾向があり、一度発症してしまうと、死に至る確率は3~5割と非常に高い数字を示します。
用心するに越したことはないですね。
参考:高松赤十字病院
マダニの生態を知っておこう
マダニの活動時期は?
マダニの活動が活発なのは、4~10月ごろの気温が上がる時期です。
困ったことに、ミーアのお散歩シーズンと被ってるんですよね!
マダニはどんなところにいるの?
マダニは草むらを好むようです。
草の先端でジッとしながら、人間や動物に寄生して血を吸うチャンスをうかがっています。
膝丈くらいの草が生い茂った場所は、公園などでも注意が必要です。
また、畑やあぜ道にも生息しています。
都市部でも警戒が必要
都市部に住んでいる人も注意が必要です。
これまで、SFTS感染ルートは主に山林や土手・農作業やアウトドア活動など、イノシシや野ウサギなどの野生動物が生息する地域での接触が中心でした。
しかし「うちは近くに畑もないし、そういう場所に出かけないから大丈夫」と安心してはいけません。
最近のデータでは、野良猫やタヌキ、ネズミといった都市部でも見かける動物にマダニが寄生し、その生息範囲が都市部まで拡大していることを示しています。
また、ペットから直接感染したと疑わせる事例も報告されているそうで、
私たちが思っている以上に、SFTS感染とマダニはどんどん身近な存在になっています。
関東でも警戒が必要
これまで、マダニによる感染症の報告は、主に静岡県以西、つまり西日本からのものが多かったのですが、
2021年に千葉県で初めてSFTSウイルスの感染が確認され、関東地方にもこのウイルスに感染した患者が存在することが明らかになりました。
参考:関東地方で初めて感染が確認された重症熱性血小板減少症候群の1例
結論:予防するしかない!
怖いよ怖いよ、って言われても、じゃあどうすればいいのでしょうか?
とにかく「マダニに咬まれないこと」が重要
何よりも大事なのは、マダニに咬まれないようにすることです。
咬まれてからのことよりも、まずは咬まれないようにすることを考えましょう。
服装
野外では、腕・足・首など、肌の露出を少なくします。
お父ちゃんは半袖・半ズボンでのお出かけが多いね
はい、、実際のところ夏場の厚着って難しいですよね、、
私はこれまでマダニのことを深刻に考えていませんでした。
今後は、お出かけ先によっては、なるべく肌が覆われるような安心できる格好で外出しようと思います。
日焼け防止にちょうどいいね
散歩ルート
マダニが多く生息している草むらや畑、あぜ道などを通る時は注意しましょう。
通らなくて済むなら、舗装された道のほうが安心です。
高さがひざ丈くらいの草が生い茂っている場所は、マダニが血を吸う獲物に移るために待ち構えている可能性があるので、それが都市部の公園であっても、ちょっと心配です。
散歩後のチェック
マダニの体長は3~8ミリメートルくらいです。
目視で確認できる程度のサイズですね。
血を吸ってパンパンになると1~2センチメートルほどになります。
お家に帰る前に、ミーアキャットや飼い主の体にマダニが付着していないか確認しましょう。
また、着ていた洋服を脱いで、家の中にマダニを持ち込まないようにしましょう。
マダニのメスは、1ヶ月ほどで約2,000~3,000個(!)の卵を産みます。
万が一、家の中にマダニの侵入を許してしまい孵化でもされた日には、、悲劇ですね。
ミーアキャットへの予防
猫ちゃん用の寄生虫駆除薬が有効とされています。
お薬が効いているうちは、最初にミーアキャットに付着した一匹のマダニがポロッと死ぬそうです。
駆除薬の中には、マダニに対して効果があるものと、マダニを駆除できないものがあります。
さらに、市販薬の中には効果が極めて薄いものも売られているそうなので、薬を選ぶ際は慎重に注意する必要があります。
先生に相談しよう
寄生虫駆除薬の例
ネットの個人輸入で買えることもありますが、その場合は自己責任での使用になります。
■レボリューションプラス
※写真はストロングホールドプラス(レボリューションプラスの欧州版)
ノミやマダニ・フィラリアにも効果がある寄生虫駆除薬です。
我が家では月1・年12回にわたって、レボリューションプラスをつけています
スポットオンといって、首筋に2~3滴を垂らして投与するタイプです。
個人でも通販などで購入できますが、海外製品の中には同じパッケージだけど肝心の有効成分が入っていない非正規品(ニセ物)が出回っているとも言われています。
ノミ・ダニの活動が活発になる4~10月はとくに注文が集中して品切れになることもよくあります。
正規ルートで購入し、安全で効果的な予防をするためにも、動物病院と相談するのがベストです。
■ブロードライン
レボリューションプラスよりも、さらに多くの虫に対して効果がある寄生虫駆除薬です。
もちろんマダニにも対応しています。
ブロードラインも、首筋に垂らすスポットオンタイプです。
我が家ではまだ使った経験がないのですが、どうしようかな~と迷っていました。
価格は、レボリューションプラスより少しだけお高いようです。
その他にもいろいろな寄生虫駆除薬がありますが、
お薬の使用については、飼い主さまのお考えは色々だと思います。あくまで「こんなものがあるようです」という参考までのご紹介でした。
※フィラリア(犬糸状虫)について
小さいフィラリアであれば、フィラリア予防薬であるこのお薬でも退治できるそうです。
ただ、フィラリア自体が体内で成長して肺動脈や心臓への寄生によって血液循環障害が起こるまで、感染自体がわからないこともあるそうです。
フィラリアに感染したミーアキャットの例は、本当に少ないようですが、ゼロではないとのこと。
そもそもフィラリアの幼虫が、顕微鏡レベルでないと見えないサイズらしいので、存在を確認すること自体が難しいんでしょうね。
飼い主がマダニに噛まれたらどうすればいい?
すぐ皮膚科に行きましょう
マダニに咬まれても痛みはほぼなく、気づかない場合が多いそうです。
- つまむと牙が残ったりマダニの体液が皮膚内に入る恐れがあるので、やめとく
- 噛まれてから2~3日経過するとがっちり噛みついて除去は困難
- 無理に引き離そうとすると、皮膚内にマダニの口器が残ってより大変
そのため、すぐに皮膚科(難しければ外科)に行きましょう。
すぐに病院に行けない場合の応急処置
何らかの事情ですぐ病院にかかれない場合、以下のような方法もあるようです。
- たっぷりのワセリンで、刺咬部をダニごと閉じ込める
- 30分間放置する。
- ガーゼや布で拭き取る。ダニが窒息して簡単に取れる。
参考:愛媛県「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況」
ミーアキャットがマダニに咬まれたらどうすればいい?
すぐ動物病院に行きましょう
万が一、ミーアキャットが咬まれたと分かった場合は、皮膚科ではなく動物病院に行きましょう。
その際、必ず事前に「マダニに咬まれた可能性がある」ということを伝えましょう。
SFTSウイルスは、動物から獣医師さんに感染してしまった例がいくつかあるそうです。
ペットの感染時に見られる症状
ミーアキャットの感染は報告例が無いためわからないのですが、ワンちゃん猫ちゃんが感染した際は、
- 食欲低下
- 下痢・嘔吐
- 黄色い尿が出る
などの症状が出る場合がるそうです。
マダニから身を守る方法のまとめ
最後に、ミーアキャットとのお散歩を楽しみつつ、マダニから身を守る方法をまとめます。
・生息地域になるべく近づかない
・家に入る前の目視チェック
・帰宅後すぐの入浴やシャワーも有効
・ミーアへのマダニ予防
楽しいお出かけ時間を安心して過ごせるように、しっかり対策しておきましょう!